学名:Grimpoteuthis spp.
📖 この記事でわかること
- ダンボオクトパスは「耳」のようなヒレをパタパタさせて泳ぐ、世界でもっとも深い場所に生息するタコのなかまです。
- 水深3,000〜7,000メートル以上の超深海でエビや虫などを丸ごと飲み込んで食べる独特の生態を持ちます。
- 2020年には水深6,957メートルという、タコのなかまとして記録的な深さでの観察例が報告されています。
- ゼラチン状のやわらかい体と低いエネルギー消費で、極限の深海環境を生き抜いています。
ひとことで言うと?
真っ暗な深海7,000mを、くりくりした目でのんびりパタパタ泳ぐ──深海界のゆるかわ最強生物。
| 🔬 学名 | Grimpoteuthis spp.(グリンポテウティス) |
| 📏 大きさ | 約20〜30cm(最大で約1.8mとされる個体も) |
| 🌊 生息深度 | 3,000m 〜 7,000m以上 |
| 🌍 生息域 | 世界中の深海(大西洋・太平洋・インド洋など) |
| 🍽️ 食性 | 肉食性(甲殻類・多毛類・二枚貝など) |
| 📅 発見年 | 1883年(属として記載) |
ダンボオクトパスは、頭の両側についた大きな「耳」のようなヒレがトレードマークの、とてもめずらしいタコのなかまです。このヒレの形が、ディズニーアニメの空飛ぶゾウ「ダンボ」の大きな耳にそっくりなことから、その愛称がつけられました。正式な学名は「グリンポテウティス(Grimpoteuthis)」といい、世界中の深い海に13種類以上が生息しているとされています。
体の大きさはふつう20〜30センチメートルほどで、大人の手のひらよりひと回り大きいくらいです。ただし、なかには体長1メートルを超える大きな個体もいるとされています。体の色はオレンジ・赤・茶色・白など種類によってさまざまで、まわりの環境に合わせて色を変えることもできるとされています。全体的にやわらかく丸みのある体つきと、くりくりした大きな目がとても愛らしい印象を与えます。
泳ぎ方はとても独特です。耳のようなヒレをゆっくりパタパタと動かすことで、まるで水中を飛んでいるように移動できます。また、タコならではの「ジェット噴射」(水を勢いよく噴き出して進む方法)も使えます。さらに8本のうで(触手)の間には「水かき」のような薄い膜(まく)がついており、これを広げてゆったりと方向を変えながら泳ぐこともできます。
主な食べ物は小さなエビ・カニのなかま(甲殻類)、ゴカイ(細長い虫のような生き物)、二枚貝のなかまなどとされています。注目すべきは、ダンボオクトパスが餌を「丸ごと飲み込む」こと。多くのタコが餌をかじって食べるのに対し、ダンボオクトパスはまるまる飲み込んでしまうとされています。深海では食べ物にありつける機会が非常に少ないため、エネルギーを無駄なく取り込むための工夫とも考えられています。
生息する深さは水深3,000〜7,000メートル以上にもなります。2020年には、インド洋の水深6,957メートルという場所で泳いでいる姿が撮影され、タコのなかまとして記録的な深海での観察例のひとつとなりました。これほどの深さは光がまったく届かず、水圧は地表の約700倍にもなります。そんな極限の環境でも、ダンボオクトパスはのんびりとヒレをパタパタさせながら、たくましく生きているのです。繁殖については、季節に関係なく一年中卵を産み続けるとされています。メスの体内には成長段階の異なる卵が複数同時に入っており、少しずつ産んでいく方法をとるとされています。
① タコなのに水深7,000mに生息!
2020年にインド洋の水深6,957メートルでの観察が記録されており、これはタコのなかまとして最深クラスの記録のひとつとされています。東京スカイツリーを約8本積み重ねた深さに相当します。
② 餌をまるごと丸のみにする!
ふつうのタコが餌をかじって食べるのに対し、ダンボオクトパスはエビや虫などを丸ごと飲み込むとされています。食べ物が少ない深海でも、一度の食事でしっかりエネルギーを取り込める体のつくりとも考えられています。
③ 季節を問わず年中たまごを産む!
ダンボオクトパスのメスは春夏秋冬関係なく産卵するとされています。体の中には成長段階の異なる卵を複数同時に持ち、少しずつ産んでいく方法は、多くのタコとは大きく異なる繁殖スタイルです。
ダンボオクトパスが超深海でも生き抜けるのには、いくつかの秘密があります。まず体がゼラチン状(ゼリーのようにぷるぷるした)のやわらかい素材でできており、地表の約700倍という猛烈な水圧にも押しつぶされることなく生きていけるとされています。また、深海は食べ物がとても少ない環境ですが、ダンボオクトパスは代謝(体のエネルギー消費)が非常に低いため、少ない食事でも長期間生き続けられるとされています。体の色を変える能力は、暗闇の中で天敵から身を隠すのにも役立つと考えられています。さらに、水深が深くなるほど大型の天敵が減るため、深く潜れば潜るほど安全という逆転の発想も、この生物の生存戦略のひとつといえるかもしれません。
⚠️ ダンボオクトパスは生息深度が非常に深く、生きたまま長期展示した例は世界的にもほとんどないとされています。
深海生物の標本・映像展示に力を入れている施設として、以下が知られています:
- 沼津港深海水族館(静岡県)
- 海遊館(大阪府)
- むつ市大湊・下北半島エリアの深海研究施設(青森県)
※展示状況は変わる場合があります。お出かけ前に公式サイトでご確認ください。
Q. ダンボオクトパスはなぜ「ダンボ」という名前なの?
A. 頭の両側についた大きな「耳」のようなヒレが、ディズニーアニメの空飛ぶゾウ「ダンボ」の耳にそっくりなことからその愛称がつきました。正式な学名は「グリンポテウティス」といいます。
Q. ダンボオクトパスはどのくらいの深さに住んでいるの?
A. 水深3,000〜7,000メートル以上の超深海に生息しているとされています。2020年にはインド洋の水深約6,957メートルでの観察が記録されており、タコのなかまとして記録的な深さとされています。
Q. ダンボオクトパスは食べることができるの?
A. 非常に深い海に生息しているため漁業の対象にはなっておらず、食用としての報告はほとんどありません。水族館での長期飼育も世界的にきわめて難しいとされています。
📝 編集部まとめ
ダンボオクトパスを調べていて、まず「かわいい!」と思ったのですが、住んでいる深さを知って思わず声が出ました。水深7,000メートルって、私たちの日常からは想像もできない暗闇と水圧の世界です。そこを何事もなさそうにパタパタ泳ぐ姿を想像すると、深海の神秘さと生命のたくましさを改めて感じます。かわいさと強さを両立するなんて、ずるいですよね。

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